親の想い
出来ないことを数えてもしょうがない。
目を合わさない。呼びかけに反応しない。あやしても笑わない。
こだわりが強い。すぐパニックを起こす。パニックを起こしたら泣き叫ぶ、暴れる。
わざとどこにでも頭をぶつける。コミュニケーションが全くとれない。
そんな幼児でした。それでも少しでも生かせる能力があると信じて、
療育(トレーニング)をしてきました。
母親は、「嘉成は大人になっても、誰かのお世話なしでは生活できないかもしれない。
だから人に大事にしてもらえる子、人に好かれる子になってもらいたい。」と一生懸命育てました。
しかし療育は三歩進んで二歩下がり、二歩進んで三歩下がりの繰り返しで、
なかなか効果は見えて来ません。そんな中でも、どんどん年齢を重ねていきます。
周りのお友達は目に見えて成長していきます。
母親も少しの喜びと大きなストレスの繰り返しです。
それでも厳しく療育してきた甲斐あってか今のところ彼は周りの優しい人に恵まれています。
しかし一番大切な母親を亡くしました。
今はたくさんの方々に支えられて版画をしていくことができています。
彼女は息子の将来を決して諦めてはいけない、投げだしてはいけないと教えてくれました。
そして彼は版画と出会うことによって、人に認められるという喜びを知り、それが生きる自信に繋がりました。
一生かけて取り組めるやり甲斐のあることが見つかって本当に良かったと思っています。
石村和徳
いつも息子のことをありがとうございます。心より感謝いたします。
2021年8月4日(水)、息子とのこれまでを書きました本が扶桑社より発売されました。
(四国地方等は2021年8月5日(木)より販売)
自閉症という発達障がいを持って生まれた息子の、診断を受けて苦悩から、「適切な療育」を学び希望に変わっていった様子を記しました。
執筆の依頼をいただき、亡き妻が残した膨大な療育の記録を整理していましたら「こんなにキチンとどうして残したのだろう?」と思い、「ひょっとしたらこの記録を困っている人や、社会のために役立てて!」と言っているようにも感じました。
その妻の思いを本にすることができ、嬉しく思っています。
息子のために短い人生を懸命に生きた妻に敬意を込めてこの本は妻との共著にさせていただきました。
発達障がいの息子の子育てを書きましたが、この記録は普通の子育てにも示唆に富み、ヒントと希望をもたらすことができたら幸いです。
出版に際しまして、扶桑社さんをはじめ御協力を賜りました皆様に心よりお礼申し上げます。
自閉症の画家が世界に羽ばたくまで 単行本(ソフトカバー) – 2021/8/4
石村 和徳 (著), 石村 有希子 (著), 石村 嘉成 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4594088686